中国の俳優タン・ジェンツー(檀健次)が主演を務める時代劇ドラマ「何不同舟渡」が25日、浙江省の大型撮影基地・横店影視城で撮影を開始した。重厚な歴史背景と心理戦を軸に据えた本作は、クランクイン直後から関係者や視聴者の間で関心を集めている。

本作は、高い評価を得てきた同名の人気小説を原作とし、南宋時代の「靖康の変」を時代背景に据える。物語は、国家存亡の危機に直面する中で展開される諜報活動を中心に描かれ、極限状況下での生存戦と心理戦が物語の核となる。近年多く見られる転生や時空移動といった要素を用いず、現実的で緊張感のある展開を追求している点が特徴だ。
監督を務めるのは、「鶴唳華亭<かくれいかてい>~Legend of Love~」で知られるヤン・ウェンジュン(楊文軍)氏。脚本は、「花の告発~煙雨に仇討つ九義人~」を手がけたホアン・フェン(黄芬)氏が担当する。荒廃した南宋の戦場を舞台に、緻密に組み立てられた権力闘争と諜報戦が描かれ、暗く張り詰めた世界観が全編を貫く構成となっている。衣装や美術面でも、低彩度の色調を基調とした表現により、乱世の空気感をリアルに再現している。

タン・ジェンツーが演じるのは、二重スパイとして暗躍する将軍・謝却山。忠誠と裏切りの狭間で揺れる複雑な内面を持つ人物で、知略と判断力が物語を大きく左右する存在だ。ヒロイン役にはルー・ユーシアオ(盧昱暁)が起用され、女盗賊から二重スパイへと身を転じていく南衣を演じる。両者の関係性や心理的な駆け引きも見どころの一つとされている。
撮影開始後、原作への関心も再び高まり、業界内からは本作を将来有望な時代劇として評価する声が上がっている。25日に行われた撮影開始のセレモニーには多くのファンが集まり、タン・ジェンツーは、かつて横店で端役として経験を積んでいた頃を振り返り、感慨深げな様子を見せた。
重厚な歴史観と現実的な諜報劇を前面に押し出した「何不同舟渡」は、従来の時代劇とは異なる方向性を打ち出す作品として注目されている。今後明らかになる追加情報や完成形への期待も高まっている。