D1-Labは、日本ガス協会が提供するスマートフォン向けアプリ『バーチャルガスパビリオン おばけワンダーランド』の開発を担当した。本作は、2025年日本国際博覧会のバーチャル会場で展開されたコンテンツをベースに、モバイル向けに再設計されたアドベンチャーゲームだ。
単なる移植ではない。
リアルイベントの“体験”を、日常的にアクセス可能な形へ変換する試みである。
万博コンテンツの再構築:一過性から継続体験へ
万博のような大型イベントは、基本的に期間限定の体験に依存している。一方で本アプリは、その内容をスマートフォンに移植することで、イベント終了後も継続的に体験できる仕組みを提供する。
これは近年の展示・イベント業界における重要なテーマだ。
“現地でしか体験できない価値”から、“いつでもアクセスできるコンテンツ”への転換が進んでいる。本作はその流れを象徴する事例といえる。

ゲームとしての設計:教育とエンタメの融合
『おばけワンダーランド』は、ファンタジー世界を舞台にしたアドベンチャー形式を採用している。プレイヤーはおばけたちの街を探索しながら、ストーリーを進めていく。
同時に、都市ガスやエネルギーに関する知識が自然に組み込まれている。
いわゆる“エデュテインメント(教育×娯楽)”の設計だ。プレイヤーはゲームを進める中で、意識せずに情報を学習する構造になっている。
複雑な説明はない。
体験の中に知識が埋め込まれている。
技術的なポイント:軽量化とアクセス性
本作はiOS・Androidに対応し、無料でダウンロード可能なアプリとして提供される。ここで重要なのは、ハイエンドなグラフィックではなく、幅広いユーザーがストレスなく動作できる軽量設計だ。
万博コンテンツのユーザー層は必ずしもゲームに慣れているとは限らない。
そのため、操作性や導入のハードルを下げることが優先されている。技術は“誰でも遊べること”を実現するために使われている。
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「バーチャルガスパビリオン おばけワンダーランド」アプリ
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— 株式会社Brave group (@bravegroup_vt) April 14, 2026
他事例との比較:バーチャル展示の進化
近年、企業や自治体はVR展示やオンラインイベントを積極的に導入している。しかし多くの場合、それらは一時的な体験に留まる。
本作の違いは、“ゲーム化”している点にある。
静的な展示ではなく、プレイヤーが能動的に関わることで、体験の記憶が強化される。これは単なる情報提供よりも、長期的な理解や印象形成に効果的とされる。
メリットと課題
メリット:
- 万博体験を時間・場所に縛られず再現
- ゲーム形式による高い参加性
- 教育とエンタメのバランス設計
課題:
- ゲーム性がライトでコアゲーマーには物足りない可能性
- 展示内容の理解がプレイヤーの関心に依存
- 継続的なアップデートがなければ短命化のリスク
結論:展示は“体験コンテンツ”へと進化している
『おばけワンダーランド』は、万博というリアルイベントの価値を、デジタル上で再構築した事例だ。重要なのは、単に再現するのではなく、“ゲームとして再設計”している点にある。
これにより、体験は一過性のものから、繰り返しアクセス可能なコンテンツへと変わる。
今後、展示や公共コンテンツは、単なる情報発信ではなく“体験設計”として進化していく可能性が高い。
本作は、その初期形の一つと位置づけられるだろう。