中国で春節(旧正月)公開を控える武侠映画「鏢人:風起大漠(英題:Blades of the Guardians)」が、1960年代生まれから2000年代生まれまで、5世代にわたるアクション俳優を集結させた作品として大きな注目を集めている。世代を超えたキャスティングと本格的な実写アクションを前面に打ち出し、中国武侠映画の今後を占う試金石とも目されている。

本作でメガホンを取るのは、「グリーン・デスティニー」や「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ(黄飛鴻)」シリーズなどで武侠映画のアクション表現を確立してきた香港の名匠ユエン・ウーピン(袁和平)監督だ。80歳を迎えた今もなお、武侠というジャンルの本質と可能性を体現する存在として、その手腕に高い期待が寄せられている。

出演陣には、レオン・カーフェイ(梁家輝、1958年生まれ)、クララ・ワイ(恵英紅、1960年生まれ)、ジェット・リー(李連杰、1963年生まれ)といった「宗師級」と称されるベテラン俳優が名を連ねる。長年にわたり武侠映画を支えてきた彼らの存在が、作品全体に重厚で奥行きのある江湖の空気感をもたらしている。
中堅世代の中心となるのは、主演と製作総指揮を兼任するウー・ジン(呉京、1974年生まれ)だ。制作のために自身の不動産を抵当に入れたとも伝えられ、本作に懸ける覚悟と情熱がうかがえる。同じく1974年生まれのマックス・チャン(張晋)は冷酷な殺し屋役で出演し、緊張感のある存在感を放っている。

1980年代生まれの代表格としては、ニコラス・ツェー(謝霆鋒、1980年生まれ)が悪役の諦聴を演じる。さらに1990年代生まれの俳優では、白髪の玉面鬼を演じるユー・シー(于適、1996年生まれ)や、狂気を帯びた悪役・和伊玄を演じるツーシャー(此沙、1997年生まれ)が登場する。越劇女優のチェン・リージュン(陳麗君、1992年生まれ)は、わずか11日で高難度の騎射アクションを習得し、越劇で培った身体表現を生かした立ち回りが「勇ましく、かつ過剰にならない」と高い評価を受けている。
2000年代生まれの新世代としては、テコンドー選手出身のアクション俳優リン・チューナン(林秋楠、2004年生まれ)と、若き将軍役を務めるアイドルグループ「時代少年団」のメンバー、リウ・ヤオウェン(劉耀文、2005年生まれ)が出演する。若さと身体能力を生かした演技が、作品に新鮮なエネルギーを注いでいる。
「鏢人」は全体の約7割を実写で撮影しており、馬上での追撃戦や至近距離での肉弾戦、兵刃を交える激しい立ち回りまで、俳優自身が演じている点も大きな特徴だ。ウー・ジンによる中国式レスリングと刀術を融合させた動き、チェン・リージュンの越劇の所作を取り入れた騎馬戦、ユー・シーが披露する唐横刀の技法など、多様な武術流派が融合したアクションは、従来の武侠映画とは一線を画す表現として注目されている。
制作費は約7億元とされ、興行収入15億元が採算ラインと見込まれている。この目標を達成すれば、世代横断型キャスティングと実写アクション重視の制作スタイルが定着し、武侠映画復興の追い風となる可能性がある。一方で、期待を下回る結果となれば、武侠ジャンルからの資本撤退を加速させる恐れも指摘されている。
その意味で「鏢人」は、単なる春節映画の一本にとどまらず、中国武侠映画の未来を左右する重要な作品といえる。ジャンル復興への突破口を模索する意欲作として、映画業界全体からも大きな注目を集めている。