Knights PeakとWindup Gamesは、2026年発売予定のアドベンチャーゲーム『Hela: of Mice & Magic』の日本語最新映像を公開した。対応プラットフォームはNintendo Switch 2、PlayStation 5、Xbox Series X|S、PC。gamescom 2025では「Most Entertaining」と「Most Wholesome」の2冠を獲得しており、すでに“癒やし系アドベンチャー”の注目作として存在感を高めている。
第一印象は、とにかく柔らかい。
小さなネズミ。
北欧の森。
動物たちとの交流。
穏やかな音楽。
一見すると、『Hela』は近年増え続けている“癒やしゲーム”の一種にも見える。
だが実際には、本作はかなり現代的なゲームデザイン潮流の上に立っている。
“戦わない冒険”が、いま大きな市場になっている
ここ数年、ゲーム市場では“競争しないゲーム”が急速に強くなっている。
『Animal Crossing』『Spiritfarer』『A Short Hike』『Unpacking』『Fae Farm』――これらに共通するのは、「プレイヤーを疲弊させない」ことを重視している点だ。
『Hela』もその流れに近い。
ただし本作が興味深いのは、“ただ優しいだけ”では終わっていないことだ。
本作には、
- 探索
- 動物との関係構築
- 能力習得
- 世界の調和回復
といった、かなり明確な“冒険構造”が存在している。
つまり『Hela』は、“癒やし”を目的化するのではなく、“穏やかな冒険”として成立させようとしている。
ここが重要だ。

北欧の自然表現が、“フォトリアル”ではなく“手触り”へ寄っている
本作の最大の魅力は、やはり世界観だろう。
スウェーデン北部の自然をベースにした森は、単に美しいだけではない。“誰かが手作業で作ったような温度感”がある。
最近の自然系ゲームは、フォトリアルへ寄りがちだ。
しかし『Hela』は逆に、“クラフト感”を前面へ出している。
草木の質感。
柔らかいライティング。
少し誇張された色彩。
これによって、本作の森は“現実の再現”ではなく、“子どもの頃に想像した自然”のような空気を持っている。
ここはかなり上手い。
“動物との交流”が、単なるNPC会話で終わっていない
『Hela』では、森の動物たちが単なるマスコットではない。
リスはチャレンジを与え、ノウサギは移動手段になり、魔法使いは探索能力を拡張する。
つまり本作は、“世界との関係性”そのものをゲーム進行へ組み込んでいる。
これは近年のアドベンチャーゲームでかなり重要な考え方だ。
昔のゲームは、“敵を倒すこと”が進行だった。
しかし現在は、“世界とどう繋がるか”がゲーム性になる作品が増えている。
『Hela』も、その方向へかなり意識的に寄っている。
特に、能力取得を“戦闘報酬”ではなく、“動物との交流”に置いている点は象徴的だ。
“カエルさんリュック”は、実はかなり現代的な探索設計
一見かわいらしい「カエルさんリュック」も、ゲームデザイン的には重要だ。
これは単なる装備ではなく、“探索自由度”を広げる移動システムになっている可能性が高い。
近年の探索型ゲームでは、“移動そのものが気持ちいいか”が極めて重要になっている。
『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』以降、プレイヤーは単に歩くだけでは満足しづらくなった。
滑空。
高速移動。
立体探索。
環境利用。
『Hela』も、“小さなネズミ視点”を活かしながら、かなり自由な移動体験を狙っているように見える。
これは単なる雰囲気ゲームとの差別化にもなる。
一方で、“癒やしゲーム飽和”市場の難しさもある
ただ、本作には課題もある。
現在、“wholesome game(癒やし系ゲーム)”市場はかなり混雑している。
Steamだけでも毎年大量の:
- スローライフ系
- 森探索系
- 動物交流系
- cozy game
が登場している。
そのため、『Hela』が埋もれないためには、“かわいい”以上の強みが必要になる。
現時点での差別化要素は、
- 北欧自然描写
- 小動物スケール探索
- 魔法と環境アクション
- 世界密度
あたりになりそうだ。
特に“ネズミ視点”は意外と強い。
人間サイズではなく、小動物視点にすることで、“世界そのもの”が巨大な冒険空間になるからだ。
gamescom受賞は、“市場ニーズ”にかなり合っている証拠
「Most Wholesome」受賞は予想通りとして、「Most Entertaining」まで獲得しているのはかなり重要だ。
つまり本作は、“ただ癒やされるだけ”ではなく、“実際に遊んで楽しい”部分も評価されている。
最近の癒やし系ゲームは、“見るのは心地いいが、ゲームとしては浅い”問題を抱えることが多い。
その中で、『Hela』は少なくとも、“操作する楽しさ”へ期待を持たれている。
ここはかなり大きい。
結論:『Hela』は、“癒やし”を売るのではなく、“優しい冒険”を作ろうとしている
『Hela: of Mice & Magic』は、一見すると典型的な“cozy game”にも見える。
だが実際には、
- 探索設計
- 環境アクション
- 世界との関係構築
- 小動物視点のスケール感
など、かなりしっかりした冒険ゲーム文法を持っている。
特に印象的なのは、本作が“プレイヤーを急かさない”ことを前提にしながらも、“ちゃんと世界を旅している感覚”を失っていない点だ。
最近のゲーム市場は、刺激と競争に疲れたプレイヤーが増えている。
その中で『Hela』は、“何もしない癒やし”ではなく、“穏やかに世界を歩く体験”を提供しようとしている。
そして、その方向性は今の市場でかなり正しい場所にある。