フリューは、完全新作アクションアドベンチャー『アノマリス/ANOMALITH』を2026年10月29日に発売すると発表した。対応プラットフォームはPlayStation 5、Nintendo Switch 2、Steam。予約受付もすでに開始されている。
本作は、昭和レトロな日本を舞台に、“異界”と呼ばれる異常空間を探索するサバイバルTPSだ。少女・水無月玲緒奈が、行方不明になった友人を探しながら、自身へ宿った異形の力の謎へ迫っていく。
第一印象として強いのは、“かなり現代的なホラーゲーム文法”を理解している作品だということだ。
単なる和風ホラーでも、単なる美少女TPSでもない。
『アノマリス』は、“不気味さ”と“戦闘ゲーム性”の両立をかなり明確に狙っている。
“昭和レトロ”は、いまやホラーゲームの最重要素材になっている
近年、日本発ホラーゲームでは“昭和”がひとつの定番テーマになりつつある。
『SILENT HILL f』、『PARANORMASIGHT』、『九日ナインソール』周辺のアジアホラー作品、さらにはインディーシーンでも、“古い日本”への回帰が続いている。
理由はシンプルだ。
現代都市より、“少し昔の日本”の方が不安を作りやすいからだ。
古い団地、薄暗いデパート、公衆電話、ブラウン管、蛍光灯――昭和的空間は、“懐かしさ”と“不気味さ”を同時に成立させやすい。
『アノマリス』も、その感覚をかなり強く押し出している。
特に“異界化した昭和デパート”という設定は、日本人プレイヤーの集合記憶をかなり刺激する。

本作は“探索ホラー”より、“サバイバルTPS”寄り
ただし、『アノマリス』は純粋なホラーゲームではない。
ゲームプレイの中心は、銃撃戦とリソース管理だ。
弾薬制限、物資回収、武器カスタマイズ、異形化スキル――設計を見る限り、本作は『The Last of Us』や『Control』寄りのTPS構造に近い。
特に“異形化スキル”は興味深い。
単なる超能力ではなく、「攻防一体」と説明されていることから、回避・防御・火力補助を兼ねるシステムになっている可能性が高い。
これは近年のアクションゲームで重要になっている、“プレイヤー主導の戦闘テンポ”とも噛み合う。
単に敵を撃つだけではなく、「どうリスクを管理するか」がゲーム性になりそうだ。
フリュー作品としては、“かなりAAA志向”
これまでのフリュー作品は、独自性は高い一方で、“中規模JRPG”の印象が強かった。
しかし『アノマリス』は、かなりAAAコンソール市場を意識している。
TPS視点。
リアルタイム戦闘。
ダークSFホラー。
探索型レベルデザイン。
さらにUIやキャラクター演出も、“アニメ調JRPG”より、“海外コンソールアクション”へ寄せている印象がある。
これはかなり大きな方向転換だ。
特に最近の日本ゲーム市場では、『エルデンリング』や『バイオハザード RE』以降、“グローバルAAA文法”へ寄せるタイトルが増えている。
『アノマリス』も、その流れの中にある。
田中ロミオ起用は、“物語重視”の強いサイン
シナリオ担当が田中ロミオである点も見逃せない。
田中ロミオ作品は、“世界そのものの異常性”を描くことに強みがある。単純なキャラクタードラマではなく、「社会や空間がどこか壊れている感覚」を表現する作風だ。
つまり『アノマリス』は、単なる怪物退治では終わらない可能性が高い。
“異界とは何か”
“なぜ世界が歪むのか”
“主人公の力は何なのか”
そうした、“設定そのものの不気味さ”へ踏み込むタイプのゲームに見える。
これは近年の『Alan Wake 2』や『Control』にも近い方向性だ。
一方で、“欲張りすぎ”への不安もある
ただし、本作には少し危険な兆候もある。
要素がかなり多い。
TPS、ホラー、サバイバル、異能アクション、クラフト、キャラドラマ、衣装変更、調査レポート、サイドミッション――情報量だけ見ると、かなり盛り込んでいる。
近年のアクションゲームで最も難しいのは、“全部入り”を成立させることだ。
特にフリューは超大規模開発スタジオではないため、各システムがどこまで磨き込まれているかは重要になる。
たとえば:
- 戦闘が浅いとTPSとして厳しい
- 探索が弱いとホラーが死ぬ
- ストーリーが弱いと異界設定が活きない
かなりバランス調整が難しい作品でもある。
“異常空間”市場は、いま確実に伸びている
それでも『アノマリス』には追い風もある。
現在のゲーム市場では、“liminal horror(境界空間ホラー)”や“異常空間探索”が非常に強い。
『Control』『Lethal Company』『Backrooms系』『SCP系』など、“説明できない空間そのもの”を恐怖へ変える作品が急増している。
『アノマリス』も、かなりその文脈へ近い。
しかも本作は、それを“昭和日本”へローカライズしている。
ここが強い。
海外ホラーとは違う、“日本独特の生活感ある異常”を描ければ、かなり独自ポジションを取れる可能性がある。
結論:『アノマリス』は、“和風ホラー”ではなく、“日本的異常空間SF”として期待したい
『アノマリス/ANOMALITH』は、現時点ではかなり野心的な作品に見える。
昭和日本。
異界探索。
サバイバルTPS。
異形能力。
心理ホラー。
これらを単純に混ぜるだけなら簡単だ。
難しいのは、“全部をひとつの空気感へ統合すること”である。
ただ、公開情報を見る限り、本作は少なくとも“いま何が世界市場で求められているか”をかなり理解している。
特に、“日本の不気味さ”を、単なる怪談ではなく、“異常空間体験”として再構築しようとしている点は興味深い。
もし戦闘と探索の両方が噛み合えば、『アノマリス』は単なる国産ホラー新作では終わらない。
“ポストSILENT HILL世代”の、新しい日本型異界ゲームになれる可能性を持っている。
